「料理を作るのが好き」「自分の作った料理で人を笑顔にしたい」などの理由で、料理の道に進むことを検討している人は多いのではないでしょうか?
今回の記事では、そんな料理人の道を志す人がまず取得を目指すべき調理師免許について紹介!
調理師免許をとる具体的なメリットや取得方法、気になる試験の難易度などについて解説します。
記事の後半では、その他の料理に関する資格や、お菓子作りの道に進みたいと考えている方におすすめの資格もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
調理師免許とは
調理師免許とは、調理師法に基づいた国家資格です。
安全な料理を提供するために食品や栄養、衛生などに関して専門的な知識と技術が身についていることを証明できます。
調理師免許を取得するメリット
調理師免許がなくても、飲食店で調理業務をすること自体は可能です。
また、オーナーが調理師免許を持っていなくても、従業員が調理師免許を持っていれば、飲食店を開業することができます。
しかし、調理師免許は調理に関して一定以上の知識と技術があることを国から認められる、食の業界でもかなり信頼性の高い資格です。
このため調理師免許を持っていることで、就職に有利になる、資格手当がつくなどして給料や待遇が良くなる、店の信頼度が高まるなどのメリットがあります。
調理師免許を取得する方法
調理師免許を取得するには、主に以下2つの方法があります。
- 専門学校や養成施設で学ぶ
- 実務経験を積んで、調理師試験に合格する
ここからは、それぞれの方法について詳しく解説していきます。
調理師免許の受験資格①専門学校や養成施設で学ぶ
1つ目は、高校や専門学校、大学など厚生労働大臣が指定する調理師養成施設で学び、卒業する方法です。
この方法なら、養成施設を卒業後、住んでいる都道府県に申請するだけで、調理師試験を受けずに調理師免許を取得できます。
調理師免許の養成施設は基本的に、大学は4年制、短大は2年制、専門学校は1〜4年制です。
1年制の専門学校を選べば、最短となる1年で調理師免許を取得できますが、そのぶんスケジュールがタイトになりやすいです。
4年制の専門学校や大学を選ぶと、資格取得までに時間はかかるものの、管理栄養士などの資格取得も目指せるというメリットがあります。
このように一概に調理師養成施設といっても、何をメリット・デメリットと捉えるかは人によってさまざま。
このため在学期間や学費、取得できる資格の種類などを考えて、自分の目的に合った養成校を選ぶことが大切です。
調理師免許の受験資格②実務経験を積んで、調理師試験に合格する
2つ目は、飲食店などで2年以上調理の実務経験を積み、調理師試験に合格する方法です。
調理師試験は年に1回、各都道府県で筆記試験にて実施されます。
全60問、マークシートによる四肢択一方式で、試験科目は以下の6科目です。
- 公衆衛生学
- 食品学
- 栄養学
- 食品衛生学
- 調理理論
- 食文化概論
原則として全科目の合計得点が満点の6割以上であれば、合格できます。
ただし、1科目でも得点がその科目の平均点を著しく下回る場合は、不合格となるため注意が必要です。
参照:令和5年度調理師試験
調理師業務従事証明書が必要
調理師試験は、中学校卒業以上の者で、なおかつ調理師法が定める施設で2年以上調理業務の経験がある人が対象です。
調理師法が定める施設としては、主に以下の施設が該当します。
- 飲食店(旅館・簡易宿泊所を含む)
- 魚介類販売業
- そうざい製造業
- 複合型そうざい製造業
- 寄宿舎、学校、病院等の給食施設
引用:令和5年度調理師試験
喫茶店営業の飲食店、販売のみの魚介類販売業は対象外となっています。
調理試験を受験するには、こういった施設で調理業務に2年以上業務に従事したことを証明する調理業務従事証明書の提出が必要です。
受験資格として認められない職歴
上記の施設に勤務していても、ホールスタッフや食器洗い、配達など調理業務ではない業務に従事していた場合は、受験資格として認められません。
そのほかにも、以下のような業務は調理業務として認められないため注意が必要です。
- 喫茶店営業
- 食肉処理(畜肉の解体、分割等)
- 食品製造(調味料、菓子・パン、麺、水産製品等の製造)
- 飲料の調製
- 簡易な飲食店営業の対象となる調理
引用:令和5年度調理師試験
簡易な飲食店営業の対象となる調理とは、そのままの状態で食べられる既製品を開封、加温、盛り付けるなどして提供することです。(例:そうざい、おでん等)
また、冷凍パン生地を焼く、冷凍製品を揚げるだけ(唐揚げやフライドポテトなど)の半製品の最終調理もこれに該当します。
調理師免許の難易度はどれくらい?
調理師試験の問題は各都道府県で異なるため、合格率も都道府県によって違いがあります。
関西連合広域連合によると、令和5年度の調理師試験は受験者3,200人のうち2,315人が合格。。(大阪、京都、滋賀、兵庫、和歌山、徳島の会場)
その合格率は72.3%でした
調理師試験は、過去の合格率も平均60〜70%前後となっているため、他の国家資格と比べるとその難易度は低いといえます。
勉強時間の目安はおよそ200〜400時間程度で、およそ毎日1〜2時間程度、3カ月〜半年間勉強して合格を目指す人が多いようです。
そのほか料理の道に進むのにおすすめの資格
「具体的にはまだ決まっていないけど、料理の道に進みたい」「いつかは自分のお店を持ちたい」そんな風に考えている人は、調理師免許以外に以下の資格取得もおすすめです。
- 食品衛生責任者
- 栄養士・管理栄養士
食品衛生責任者
店舗や食品を正しく衛生管理するための国家資格です。
飲食店や食品製造業など、食品を製造、加工、調理、販売する施設の営業に必要な資格となっています。
調理師免許と同様、経営者本人ではなく従業員が持っていれば問題ありませんが、お店に常駐する人が持っていることが望ましいため、飲食店開業を目指すなら取っておきたい資格です。
食品衛生責任者の資格は、都道府県などが開催する6時間程度の講習を受けることで取得が可能。
すでに調理師免許や栄養士、製菓衛生士などの資格を持っている場合は講習が免除されるため、申請のみで取得が可能です。
栄養士・管理栄養士
栄養士とは、健康な人を対象に、栄養指導や栄養管理などを行う国家資格です。
その上位資格である管理栄養士になると、傷病者や加齢で食事がとりづらい方など、特別な配慮が必要となる人に対しても栄養指導・栄養管理ができるようになります。
栄養士・管理栄養士の資格を取得すると、病院や学校、介護施設など集団食を提供する施設の献立作成や給食管理なども可能となるため、就職先の幅が広がるのがメリットです。
栄養士の資格取得は、管理栄養士養成施設(4年制)または栄養士養成施設(1〜4年制)を卒業することで取得が可能。
管理栄養士の資格は、管理栄養士養成施設を卒業後、管理栄養士国家試験に合格することで取得が可能です。
栄養士養成施設を卒業している場合は、修業年数に応じ、定められた期間(1〜3年)実務経験を積むことで、管理栄養士国家試験の受験資格が得られます。
参照:管理栄養士・栄養士とは | 公益社団法人 日本栄養士会
お菓子づくりの道に進むのにおすすめの資格は?
料理好きな人のなかには、お菓子作りも同じぐらい好き、あるいはお菓子作りの方が好きという方もいるでしょう。
そこで、ここからは食の仕事のなかでもとくにお菓子やパン作りに興味があるという方におすすめの資格を紹介します。
製菓衛生師
和菓子や洋菓子、パンなど製菓(お菓子作り)に関する国家資格です。
製菓に関する専門的な知識と技術、衛生知識があることを証明できます。
主にお菓子作りのプロであるパティシエとして働くのに役立ち、実際いま活躍しているパティシエもその多くが保有している資格です。
また、製菓衛生師を持っていると、食品衛生責任者の資格も講習なしで取得できます。
このため「将来自分でお店を開きたい」「ネットショップでお菓子を販売したい」という方にもおすすめの資格といえるでしょう。
>>製菓衛生師の資格は取得すべき?メリットと取得の方法を紹介
菓子製造技能士
製菓衛生師と同じく、製菓(お菓子作り)に関する国家検定です。
和菓子と洋菓子という2つの区分があり、それぞれ1級・2級の等級にわかれています。
実技試験があるほか、受験資格を満たすには2級で2年以上、1級の場合は7年以上の実務経験が必要であることから、製菓衛生師からさらにステップアップした資格といえるでしょう。
資格取得まで時間がかかり、試験の難易度も高いぶん、パティシエとしてはもちろん、お菓子教室やパン教室、オンライン販売など、さまざまな形でお菓子作りやパンに携わるのに役立つ資格です。
まとめ
「料亭やレストランなどで働きたい」「将来自分のお店を持ちたい」と考えているなら、料理人としての就職や独立に有利な調理師免許の取得がおすすめです。
また、お菓子作りに興味がある方は、製菓衛生師や菓子製造技能士などの資格を取得することで、洋菓子のプロであるパティシエとして活躍できます。
こういった資格は、お菓子教室やパン教室、オンライン販売など、自分の大好きな趣味から一歩踏み出すのにも役立つため、ぜひ取得を検討してみてくださいね。
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