パン作りに欠かせない砂糖ですが、なぜパンを作るときに砂糖を入れる必要があるのかをご存知でしょうか。
パン作りにおける砂糖の役割を理解することで、パン作りがより上手になるでしょう。
この記事では、パンに砂糖を入れる理由や砂糖の適量、種類について解説します。
パン作りにおける砂糖の役割
パン作りにおける砂糖の役割には様々なものがあります。ひとつずつ見ていきましょう。
パンを甘くする
パンに砂糖を入れることで、砂糖の甘みがそのままパンの甘さになります。砂糖はパンの風味付けに欠かせません。
パンを膨らませる
パンの生地に砂糖を混ぜると、砂糖の主成分であるショ糖が酵母(イースト)によって、ブドウ糖と果糖に分解されます。
それらが栄養となってアルコール発酵が行われ、炭酸ガスが発生します。これが、パンが膨らむ理由です。
小麦粉のでんぷんなども糖を含むので、酵母(イースト)の働きが見られますが、砂糖を入れることで、発酵がよりスムーズになります。
パンに焼き色や香りをつける
砂糖には、パンに焼き色や香りをつける役割もあります。砂糖の量が多いほど、焼き色が濃くなります。
これは、パンの材料に含まれるアミノ化合物と、砂糖に含まれる還元糖を加熱することによって起こる、メイラード反応という化学反応によるものです。
この反応によって、パンに茶色い焼き色と香ばしい風味が付きます。
また、砂糖のカラメル化も焼き色が濃くなる理由のひとつです。
パンをしっとりさせる
砂糖は、水を吸着して保持する保水性をもっています。
パンに砂糖を入れることで、焼成時にパン生地の水分が引きつけられて蒸発しにくくなるので、パンがしっとりと焼き上がります。
パンの劣化を遅らせる
パンは、作られてから時間が経つと水分が蒸発してしまい、小麦粉のでんぷんが老化して固くなります。
保水力のある砂糖を入れることによって、水分がでんぷんの構造内にとどまり、パンが固くなることを遅らせることができます。
パンの美味しさを長持ちさせるためには、砂糖が欠かせません。
砂糖を入れる際の目安は?
砂糖を入れ過ぎると、酵母の働きを鈍らせてしまい、発酵力が弱まります。
砂糖の適量は、全体の粉量の5%〜10%ほどです。
砂糖を入れすぎると「窯伸びしやすくなる」「表面が焦げやすくなる」といったリスクがあります。
ただし、あんぱんなどの菓子パンは、全体の粉量の25%〜30%ほど砂糖を入れる必要があります。
砂糖の量と比例して「イーストの量を増やす」「発酵時間を長くする」「耐糖性イーストを使用する」という工夫をしてみましょう。
パン作りに使う砂糖の種類
砂糖とひとくちに言っても、様々な種類があります。
砂糖の原材料は主に、「さとうきび」と「てんさい」(ビート、さとう大根)の2つです。
また、砂糖の製法も2つあり、絞り汁をそのまま煮詰めると「精製度の低い砂糖(含蜜糖)」ができ、精製して不純物を取り除くことで「精製度の高い砂糖(分蜜糖)」ができます。
代表的な砂糖の種類をご紹介していきます。
上白糖
上白糖は、日本で料理に使用される一般的な砂糖の種類です。
パン作り初心者には、上白糖を使用することをおすすめします。
甘みが強く、癖がないのが特徴。水分が多く、グラニューと比べるとしっとりしているので、パン生地の水分も保ちやすいのが特徴です。
さとうきびやてんさいを原料とし、精製度が高い分蜜糖として作られます。
グラニュー糖
グラニュー糖は、欧米で一般的に使用されています。
粒がさらさらしており、あっさりとしてくせがありません。
主にさとうきびを原料とし、精製度が高い分蜜糖として作られます。
メロンパンやシナモンロールといった、独特の風味を活かしたいパンを作るときにおすすめです。
三温糖
さとうきびやてんさいを原料とする三温糖は、精製度が高い分蜜糖です。
成分は上白糖とあまり変わりませんが、白砂糖よりも香ばしさとコクがあります。
一度精製したものを煮詰めてカラメル化させることで、茶色い色がつきます。
黒糖
黒糖は、さとうきびを原料に作られる砂糖です。
さとうきびの搾り汁をそのまま煮詰めることで、黒褐色で蜜分を多く含んだ砂糖になります。
濃厚なコクと甘み、強い風味が特徴で、ミネラルが豊富です。
きび砂糖
きび砂糖も、さとうきびを原料に作られるので、さとうきび本来のコクや甘みが特徴です。
精製されていますが、黒糖より精製度が低く、ミネラル分などが残っています。
てんさい糖
てんさいから作られる砂糖で、精製度が低い含蜜糖です。
ミネラルが豊富で、やさしい甘さがあります。
まとめ
パン作りにおける砂糖の役割や注意点、砂糖の種類について説明してきました。
パンには砂糖が欠かせないということをお分かりいただけましたでしょうか。
砂糖の種類によって、パンの仕上がりに差が出るので、色々と試してみるのがいいですね。
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